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裁判例:通勤中の事故と使用者責任

 

広島高裁平成14年10月30日判決

交通事故の加害者が、通勤中や帰宅中の運転であった場合、加害者本人だけでなく、その加害者を雇用していた会社等に対しても、損害賠償請求ができないか問題になります。

民法715条の使用者責任を問えるかどうかという問題で、「事業の執行について」事故を起こしたかどうか、の判断になります。

広島高裁平成14年10月30日判決は、帰宅途中の事故について、

 


「被控訴人乙川の本件事故当時の本件自転車の運転行為が被用者である被控訴人会社の職務執行行為そのものに属するものでないのはもちろん、その行為の外形からみても被控訴人会社の職務の範囲内の行為と認めることもできず」

「本件事故が、被控訴人乙川のいつもの通勤コース途上で起きた出来事であること、被控訴人会社が、本件事故当時、自転車通勤者のために駐輪場を確保し、自転車通勤であっても、自宅から会社までの距離が四キロメートルを越える場合はバス代相当の手当を支給していたこと、被控訴人会社が、定期的にチラシを配付するなどして従業員の交通安全意識の涵養を図っていたこと等の事実を考慮しても同判断を左右するものとはいえない。」

 


として、会社に対する請求を否定しました。

通勤事故の使用者責任を追及する際には、かなりハードルが高いと言わざるを得ない判断です。

 

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