労働能力がどの程度失われたか、については、後遺障害等級にしたがっって決められるのが一般的です。
しかし、後遺障害の実態と、労働の実態が等級表のパーセンテージと合わない場合もあります。
このような場合には、実態をしっかりと主張立証して、等級表よりも高い労働能力喪失率を認定してもらう必要があります。
この点、千葉地裁平成21年12月17日判決は、被害者が調理師、右手に後遺障害を負った事案で、後遺障害の内容は14級としつつも、
「原告に生じている右手の握力低下は、利き腕に関するものであり、その程度も左手の握力の半分程度となっているものであること、原告は調理師として稼働し ていたところ、包丁を握るなどの面で実際に支障が生じているものと認められること、握力低下の状態は、事故後五年以上が経過した現在も解消されておらず、 今後も相当程度の期間にわたって継続することが見込まれることなどの事情を考慮し・・・労働能力喪失率としては八%、労働能力喪失期間としては一五年」
を認めています。
等級表では14級の場合の労働能力喪失率は5%ですので、若干高い喪失率が認められたことになります。