損益相殺と過失相殺の両方がある場合、どのような順序で控除するかによって、受け取れる損害額が変わってきます。損益相殺を先に控除し、後に過失相殺をした方が被害者には有利です。
現在の裁判例上は、国民年金、健康保険、厚生年金の場合は、損害額から保険給付額を引いた残額に対して過失相殺をします。(損益相殺が先)
➡ 過失が大きい場合には、健康保険や国民健康保険を使って治療を受けた方が、過失相殺される対象額が少なくなりますので、全体的にもらえる残額は多くなります。
これに対し、労災の場合に、最高裁判例では、過失相殺をした後の金額から労災受領額を控除しています(最判平成元年4月11日、過失相殺が先)。